貿易実務検定B級 Web試験ってどんな試験?独学で合格するために必要となる勉強時間や効率の良い勉強方法は?そんな疑問にお答えします。
こんにちは、メーカー勤務で約10年ほど貿易事務員をしている 沢村(さわむら) です。
物流会社やメーカーでの貿易実務経験をもとに、皆さんのためになる情報を発信していきます。
今回は貿易実務検定B級 Web試験がテーマで、以下の内容についてまとめています。
- 貿易実務検定B級をおすすめしたい人
- 試験概要(難易度/試験形式/出題内容 など)
- 試験対策(おすすめの参考書/勉強方法 など)
筆者について
貿易実務9年の経験あり
※貿易実務検定B級受験時
私が貿易実務検定B級を受験した当時の経歴は以下の通りです。
- 貿易実務9年程度の業務経験あり
- 貿易実務検定C級 取得済み
- IATA ディプロマ 国際航空貨物取扱士(危険物) 取得済み
受験時、貿易実務に関して素人というわけではなく、9年程度の実務経験がありました。
貿易実務検定B級をおすすめしたい人
メーカー・商社で貿易関連業務を行う方
貿易関連業務のスペシャリストを目指す方
貿易実務検定B級の試験範囲には、一般的な貿易関連業務をするうえで必須でない分野(マーケティングやクレーム対応)も含まれます。
また貿易実務検定C級と比較すると難易度が上がっているため、貿易業務を行う方全員に必須というものではありませんが、マネージメント業務に関する知識を身に着けたい方、貿易業務のスペシャリストを目指す方も受験をおすすめします。
試験概要
貿易実務検定とは
貿易実務の能力
知識を測る試験
貿易実務検定とは日本貿易実務検定協会が実施している貿易実務を行う方や興味のある方を対象にした検定試験です。
難易度に応じてA~C級までが設けられており、スキルに応じた難度の検定試験を受けることが可能です。
詳細は貿易実務検定協会の公式サイトを参照してください。
検定試験実施日・申込受付期間
貿易実務検定B級 Web試験はここ数年においては、年に3回(3月、7月、12月)実施されています。
貿易実務検定 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
A級 | ー | ー | ー | ー | ー | ー | ー | ー | ー | ◎ | ー | ー |
B級 | ー | ー | ◎ | ー | ー | ー | ◎ | ー | ー | ー | ー | ◎ |
C級 | ー | ー | ◎ | ー | ◎ | ー | ◎ | ー | ー | ◎ | ー | ◎ |
第72回 貿易実務検定B級
2023年3月12日(日)
項目 | 内容 |
---|---|
検定試験実施日 | 2023年3月12日(日) |
申込受付期間 | 2022年12月26日(月) 12:00 ~ 2023年2月20日(月) 12:00 |
受験票発行 | 2023年3月2日(木) ~ 2023年3月5日(日) |
アカウント発行 | 2023年3月7日(火) |
合格発表 | 2023年4月7日(金) 12:00 |
詳細は以下の公式情報も参考にしてください。
難易度
難易度:普通
独学で合格可能(合格率52%)
貿易実務検定には経験レベルに応じた試験(A級,B級,C級)が提供されています。
貿易実務、貿易マーケティング、貿易実務英語の3科目からなり、各科目のざっくりとした概要・難易度の目安は以下の通りです。
- 貿易実務
-
試験範囲の背景と根拠を正しく理解していないと誤答につながるような問題が多いため、貿易実務検定C級で必要とされる知識(定型業務を行うために必要な知識)に比べると、格段に難易度は上がります。
- 貿易マーケティング
-
貿易実務検定C級にはなく、B級から追加される科目です。テキストで解説されていない問題が出題されることもありますが、基本的な内容のため難易度はあまり高くありません。
- 貿易実務英語
-
貿易実務検定C級と比較すると長文問題が増えています。目安として、TOEIC750点ほどのスコアを持つ方であれば特に苦労はしない(試験勉強は必要ない)レベルの問題です。
C級と比較すると、科目が1つ増えたり貿易実務・貿易実務英語の難易度は上がりますが、十分な学習時間を確保できるのであれば、独学での合格は難しくありません。
試験形式
オンライン Web試験
貿易実務検定B級の試験形式は以下の通りです。
試験はオンラインによるWeb試験で行われ「貿易実務」「貿易マーケティング」「貿易実務英語」の3科目で構成されています。
項目 | 内容 |
---|---|
試験方法 | Web試験 |
試験構成 (科目/時間/配点) | 1) 貿易実務(9:00~15:30の間で75分間)/ 150点 2) 貿易マーケティング(9:00~15:30の間で30分間)/ 50点 3) 貿易実務英語 (10:00~16:15の間で60分間)/ 100点 |
合格ライン | 3科目合計で 210点 (70%)以上 |
受験料 | 6,800円(税込7,480円) |
他の一般的な試験との大きな違いとして、1) 貿易実務 2) 貿易マーケティング 3) 貿易実務英語ともに、定められた時間内であれば自分の好きなタイミングで試験を開始できるという点があります。
ただし必ず 1) 2) 3) の順番で受ける必要があります。
貿易実務 出題形式
第1科目「貿易実務」の出題形式は以下となります。
問題 | 出題形式 | 問題数 | 配点 | 時間 |
---|---|---|---|---|
1 | 正誤(○×)式 | 10問 | 30点 | 15分 |
2 | 選択式 | 15問 | 45点 | 15分 |
3 | 語群選択式 | 15問 | 45点 | 30分 |
4 | 四答択一式 | 10問 | 30点 | 15分 |
第1科目「貿易実務」は4つの問題に分かれており、各問題ごとに定められた制限時間内に解答する必要があります。 例えば 1. 正誤(○✕)式 / 制限時間15分において時間が5分あまったとしても、その時間を別の問題 2. 選択式 に割り当てるといったことはできません。
各問題は 必ず1~4の順番で解く必要がありますが、貿易実務(9:00~15:30)の時間内であればどのタイミングで開始しても問題ありません。また問題1~4を連続で解く必要はなく、途中で休憩を入れながら受けることも可能です。
貿易マーケティング 出題形式
第2科目「貿易マーケティング」の出題形式は以下となります。
問題 | 出題形式 | 問題数 | 配点 | 時間 |
---|---|---|---|---|
1 | 正誤(○×)式 | 10問 | 20点 | 10分 |
2 | 選択式 | 5問 | 10点 | 5分 |
3 | 四答択一式 | 5問 | 10点 | 5分 |
4 | 語群選択式 | 5問 | 10点 | 10分 |
制限時間や問題を解く順番についての考え方は基本的には第1科目「貿易実務」と同様です。
第1科目「貿易実務」の問題1~4が解答済みの状態であれば、第2科目「貿易マーケティング」の時間内(9:00~15:30)で自分の好きなタイミングで試験を開始可能です。
貿易実務英語 出題形式
第3科目「貿易実務英語」の出題形式は以下となります。
問題 | 出題形式 | 問題数 | 配点 | 時間 |
---|---|---|---|---|
1 | 三答択一式(英文和訳) | 10問 | 30点 | 15分 |
2 | 三答択一式(和文英訳) | 3問 | 9点 | 8分 |
3 | 三答択一式(英文和訳) | 8問 | 16点 | 12分 |
4 | 三答択一式(長文解釈) | 15問 | 45点 | 25分 |
制限時間や問題を解く順番についての考え方は基本的には第1科目「貿易実務」と同様です。
第2科目「貿易マーケティング」の問題1~4が解答済みの状態であれば、第3科目「貿易実務英語」の時間内(10:00~16:15)で自分の好きなタイミングで試験を開始可能です。
出題範囲
出題範囲は以下の通りです。比較可能なのように A級, B級, C級 すべての範囲を載せています。
科目 | 内容 | A級 | B級 | C級 |
---|---|---|---|---|
貿易実務 | 貿易と環境 | ○ | ○ | ○ |
貿易経済知識 | ◎ | ◎ | ○ | |
貿易の流れ | ◎ | ◎ | ○ | |
貿易金融 | ◎ | ◎ | ○ | |
貿易書類 | ◎ | ◎ | ○ | |
貿易法務 | ◎ | ◎ | ○ | |
貿易税務 | ◎ | - | - | |
通関知識 | ◎ | ◎ | ○ | |
貿易保険 | ◎ | ◎ | ○ | |
外国為替 | ◎ | ○ | ○ | |
航空貨物 | ◎ | ○ | ○ | |
クレーム | ◎ | ○ | - | |
マーケティング知識 | - | - | ○ | |
貿易マーケティング | ◎ | ○ | - | |
貿易実務英語 | 商業英単語 | ◎ | ◎ | ○ |
英文解釈 | ◎ | ◎ | ○ | |
英作文 | ◎ | - | - |
再チャレンジ制度
無料で再受験可能な回数は1回のみで、過去に再チャレンジ制度を利用したことがある場合は利用できません。
再チャレンジ制度の概要
貿易実務検定®をWeb試験で受験し、万が一不合格になった方は、次回実施の検定試験(同じ級)のみ無料で受験できる制度です。
再チャレンジで受験できる回数は一回のみです。再チャレンジ制度を利用しての受験にさらに重ねて利用することはできません。
試験欠席者および無回答の方には適用しません(制度趣旨より)。
再チャレンジ制度で申し込まれた場合でも試験の延期や振替はできません。
引用元:https://www.boujitsu.com/apply/retry_apply
科目免除制度
免除するための条件は以下の通りです。
- 国際実務マーケティング協会®主催の「マーケティング・ビジネス実務検定®」C級、B級、A級試験のいずれかに合格している
この条件を満たしていれば、マーケティング・ビジネス実務検定合格後、計3回の貿易実務検定B級試験において貿易マーケティング科目を免除することが可能です。受験時に何もしなくても免除されるわけではなく、試験申込時に合格証に記載されているMから始まる合格番号を免除番号として記入する必要があります。
試験対策
勉強時間
初心者:160時間
経験者:50~80時間
ただし初心者の方は、基本的には貿易実務検定C級の学習・認定試験合格を目指すことから始めることをおすすめします。
最初からB級を受験して合格することが不可能というわけではありませんが、C級の学習範囲を正しく理解していないと出題される問題の根拠となる法規や背景を理解することが難しいと感じるはずです。
またB級テキストでは、C級の出題範囲の内容を理解している前提で説明が省略されている箇所があります。そのため、まずはC級の学習を行い基礎知識を身につけて合格してからB級にチャレンジすることをおすすめします。
貿易実務検定C級の勉強法については以下の記事を参考にしてください。
実務経験がある経験者の場合、勉強時間として50~80時間程度を想定しておきましょう。
私の場合は受験当時で9年程度の実務経験がありましたが、普段の業務とあまり関係のない出題範囲もあったため、知識を確実に身に着けるためのテキスト学習+過去問対策をメインに行いました。
期間としては2か月、70時間程度の勉強時間で合格しています。勉強時間の内訳は以下の通りです。
- テキスト学習:15時間
- 過去問対策:45時間
- 英語対策:10時間
B級出題範囲の知識を十分に持っている方であれば、テキスト学習時間を減らして過去問対策に時間を多く使うのがよいと思います。
おすすめのテキスト・教材
試験勉強におすすめのテキスト・教材ですが、貿易実務検定を実施している日本貿易実務検定協会から販売されている公式テキスト「貿易実務アドバンストマニュアル」、公式問題集「貿易実務検定® B級試験問題集」、公式過去問「貿易実務検定®B級本試験問題」この3つが鉄板です。
いずれも、貿易実務検定の公式サイトからのみ購入可能で、Amazonや楽天では販売されていません。
勉強法(貿易実務・マーケティング)
「貿易実務」科目と「貿易マーケティング」科目についてですが、それぞれの科目の基礎知識をしっかりと身につけるためにまずは公式テキスト「貿易実務アドバンストマニュアル」に目を通し、その後過去問「貿易実務検定®B級本試験問題」に取り組みました。
過去問で間違った問題については、公式テキストの関連箇所を確認・復習し、これらを過去問3年分に対して行っています。
時間配分としては、最初の公式テキストでの勉強に15時間、過去問+間違った部分を公式テキストで再確認に45時間、といったところです。
「実際の試験形式に慣れておきたい」「本番試験に準じた時間配分で問題を解いておきたい」といった理由から、私は過去問をメインにして試験勉強を行いましたが、公式問題集「貿易実務検定® B級試験問題集」をメインに試験勉強を行っている方も私の周りでは多かったので、必要に応じて使い分けてみましょう。
この公式問題集は解説が非常に充実しているため、日々の業務で悩んだときにも参考になっています。
その他の注意点として「貿易マーケティング」科目については、そもそも公式テキストに記載のないような問題がいくつか出題される可能性があります。
しかし貿易マーケティングの配点は50点満点で配点もそれほど多くないため、そこはあまり深掘りせずに過去問に出てきたものだけを重点的に学習することで問題ありません。
勉強法(貿易実務英語)
貿易実務検定B級の「貿易実務英語」科目ですが、貿易実務検定C級と比較すると長文の比率が増えています。
試験の後半で疲労もたまり、集中力も途切れて来たころに受けることになるため、きちんと準備をしていないと思わぬケアレスミスを招きかねません。
私は試験当日の失敗を極力なくすために、試験の20日くらい前から毎日15分程を目安として「必要な情報を正確に拾えるよう過去問を利用してスキミングのトレーニング」を行いました。
スキミングでは文章中の5W1Hを意識して見つけるよう心がけました。
通信講座について
現状では貿易実務検定B級でおすすめできる通信講座はありません。
まず公式で実施されている通信講座ですが、試験直前の限られたタイミングでしか受講することができません。そのため長期でじっくり学習したい方には向いていません。
ちなみにこの公式の通信講座、私は実際に申し込んで受講しています。
ちなみにこの公式の通信講座は税込16,500円もしました…
ちなみに以前はクレアールでも貿易実務検定の通信講座が開講されていたのですが、2022年3月31日で講座提供が終了されてしまいました。
こちらの内容はおすすめできるものであったため非常に残念です。
参考書籍
その他に「貿易実務英語」対策+αとして私が利用していた書籍を2つ紹介します。
実務(契約、取引前段階~実際の出荷、クレームなど実際の取引を想定した時系列)で使用するような定型文の文例集があるため、試験対策のみならず実際の業務でも参考になるのでとてもおすすめです。
図解入門ビジネス貿易英語の実用文例がよ~くわかる本
基本的な文章が各場面ごとにまとめられており、業務の背景を理解するのにも役立ちました。見開きの中に基本例文と実例、その他ポイントがスッキリまとめられているため、とても見やすい・利用しやすい参考書です。
新版 貿易実務検定(R) オフィシャルテキスト [貿易実務英語科目]
貿易実務検定を実施している「日本貿易実務検定協会」から出版されている「貿易実務英語」科目用のテキストです。書類のサンプル等も併記されているため、視覚的にもわかりやすくおすすめです。
まとめ
貿易実務検定B級Web試験 についてのまとめです。
- 貿易関連業務のスペシャリストを目指す方におすすめの試験
- 3科目300点満点の70%以上で合格(合格率は約52%)
- 公式テキスト&公式過去問による試験対策が推奨
- 「貿易実務英語」科目については別途対策が必要
貿易実務検定B級は貿易実務検定C級と比較するとやや難易度は上がりますが、独学でも十分に合格を狙える試験です。
ぜひ本記事の内容を参考にして試験にチャレンジしてみてください。
みなさんのおすすめの勉強方法などがあれば、ぜひコメントで教えてくださいね。
コメント
コメント一覧 (2件)
Good luck.
>貿易実務検定B級の「貿易実務英語」科目対策については、別記事にてもう少し詳細をまとめる予定です。
すみませんが、通りがかりの者として。
アドバンストマニュアルには貿易実務英語の内容がないので、受験者の方々はどのようにB級対策をしているのか、ふと感じたことがあります。たぶん、過去問を解いて勉強されているのではと想像いたします。かつては商業英語検定がありましたが、今日、民間資格ながら、メジャーな存在なのはすごいと思います。