24時間ルールってどんなルールなんだろう?そんな疑問にお答えします。
こんにちは、メーカー勤務で約10年ほど貿易事務員をしている 沢村(さわむら) です。
物流会社やメーカーでの貿易実務経験をもとに、皆さんのためになる情報を発信していきます。
今回は24時間ルールがテーマです。固定業務をやっていると忘れてしまいがちになる24時間ルールについて備忘録を兼ねて記事にまとめます。
24時間ルールの概要
24時間ルールとは
米国向け貨物に対する
セキュリティ規則
24時間ルールとは、米国向け貨物に対するセキュリティ規則のうちの1つです。
米国に輸入または米国領海を通過する海上・航空・陸上貨物を対象とし、仕出し港での船積みの24時間前までに、米国税関庁あてにHSコードを含めた船積情報(マニュフェスト情報)の提出をおこなうよう義務付けた規則です。
導入の経緯・目的
アメリカ同時多発テロ事件以降、2002年12月より反テロ/国防強化の一環として、税関国境警備局(U.S. Customs and Border Protection:CBP)により制定されました。
提出された船積情報をもとに米国税関がテロ行為に使用される疑いのある貨物の有無を特定し予防対策を取る事を目的としています。
また2004年より 10+2 ルール(国向け海運貨物について輸入者に10項目、船社に2項目の情報提出を要する規則)が導入されたことにより、船積情報と輸入者が提出する10項目の貨物情報がCBPで船荷証券番号と結び付けられ照合されることによりチェック体制が厳格化しています。
アメリカ以外での運用国
アメリカ以外では以下の国でも現地版の24時間ルールが運用されています。
- カナダ
- メキシコ
- EU
- 日本
- 中国
- トルコ
アメリカ同時多発テロ事件がきっかけとなりできた規則ですが、アメリカ以外でも運用されています。
24時間ルールの運用における注意点
通常 CY CUTは、FCLでの手配は本船入港の前日、LCLでの手配(CFS貨物の場合)は本船入港の2日前となっています。
米国向け貨物は24時間ルールの適用を受け、本船入港3日前、CFS貨物は4日前と配送にかかるリードタイムが長くなっています。港によって条件が異なりますので、対象国へ貨物手配する際は必ずスケジュールを確認しましょう。
これにより配送リードタイムが延長となるたため、生産・出荷計画の調整やのサプライチェーンの見直しが必要となる場合があります。また在庫となる期間が増えるため保管料の発生する場合もあるので要注意です。
とくに危険品の手配の場合、社内船積み情報提供のための作業時間が大幅に増加することも考えられます。そのため他業務との作業時間調整が必要となることもあるので余裕を持った準備を心がけましょう。
船積情報(マニュフェスト)について
どのように提出するのか?
船社、AUTOMATED NVOCCに属する団体がAMS(AUTOMATED MANIFEST SYSTEM)を利用して提出します。
ベースとなる情報の責任は貨物を輸送する「荷主」にあります。荷主から提出された情報で船社が代理で船積情報を提出してくれますが、あくまで代理であることを忘れず社内での確認を必ず行いましょう。
何が書かれているのか?
船積情報(マニュフェスト)には主に以下のような内容が記載されます。
- 正確な貨物の名称
- HSコード(6桁)
- 貨物の数量(梱包単位の数量の記入が必要)
- 危険品明細(危険品に該当する場合)
- 荷主名/荷受人の正式名称と住所
- コンテナ番号及びシール番号
作成のポイント
貨物名称の記載について
食品や機械といったカテゴリーではなく、リンゴ、ミカンといった品名を記載する必要があります。
NG例
- Foodstuffs
- Machines
- Electronic Goods
- Chemicals
OK例
- apples, oranges
- Printing machine, Sewing machine
- Computer, Phone
- Paint
貨物数量について
米国税関では Pallet、Bundle、Skidといった貨物の荷姿記載は認められていません。そのため「Pallet」や「Bundle」等の内個数を記載する必要があります。
NG例
- 1 Pallet
OK例
- 20 Cartons、10 Paper bags
間違った内容で申請してしまった場合
万が一誤った情報を申告してしまった場合、船社経由で報告を行い訂正することが可能です。
訂正料(Amendment Fee)が発生する場合があるので、間違いに気づいたらすぐに訂正の依頼を行いましょう。予定しない追加費用が発生する場合は、関連部署への確認も必要です。
予定していない費用が発生した場合、関連部署の承認・申請作業など余計な工数がかかります。アフターケアにかかる工数を減らすためにもミスなく作業できるようにしましょう。
まとめ
メーカーや商社(荷主)の立場の方は、自社通関ではなく通関業者に輸出入手配をお願いしているかと思います。
今回のテーマの船積み書類の提出義務は、荷主ではなく船会社にあります。しかし貨物の情報や梱包は荷主の責任であることを意識しましょう。特に危険品の手配に携わる場合は、それぞれの作業や法規がなぜ必要か、その背景に何があったのかは最低限把握する必要があります。
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