HSコードとは?

HSコードとは
さわむら

HSコードってどんな時に何のために使うものなんだろう?調べ方や決め方は?そんな疑問にお答えします。

こんにちは、メーカー勤務で約10年ほど貿易事務員をしている 沢村(さわむら) です。

物流会社やメーカーでの貿易実務経験をもとに、皆さんのためになる情報を発信していきます。

今回は通関で使用するHSコードがテーマです。

目次

HSコードの概要

HSコードとは

輸出入品を分類するための
世界共通の番号

HSコード(HS code)とは輸出入品を分類するための世界共通の番号国際的な統一システムのコードのことです。HSコードは「HS番号」「輸出入統計品目番号」「関税番号」「税番」と呼ばれることもあります。

HS条約の締約国は、HS条約にもとづき自国の関税率表および輸出入統計品目表を作成し運用することが義務づけられています。

HS条約

商品の名称および分類についての統一システムに関する国際条約:International Convention on the Harmonized Commodity Description and Coding System のことです。

どんなときに使うのか?

HSコードは、輸出入貨物の品目分類や税率計算のベース、貿易統計の品別表の集計などに使用します。またEPA原産地証明に記載されるものです。

どこで使用されているのか?

全世界

HS条約に加盟している国(160カ国)だけでなく、未加盟国でも輸出入の手続きでHSコードは使用されています。

全世界共通なのか?運用の違いは?

6桁目まで共通

国際的に統一されているのはHSコードの6桁目までです。

それ以降は各国の国内法で細分化されており、国によってHSコードの桁数は異なります。日本と輸入国でどのHSコードを適用するか判断が異なる場合がありますので、輸入者を通じて輸入国税関に確認してもらうようにしましょう。

さわむら

7桁目以降は国ごとに細分化されており輸出と輸入で必ずしも同じではありません。

各国/地域 独自のコード

世界共通のHSコードとは異なりますが、各国独自のHSコードのようなものも存在します。

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国 / 地域コード内容
アメリカHTSコード HTS = Harmonized Tariff Schedule
アメリカ独自のコード
台湾CCCコードCCC = Customs Imports Tariff of Republic of China
台湾の Customs Cooperation Counsil Nomenclature (CCCN) にもとづいて作成されたコード
EUCNコード CN = Combined Nomenclature
EU国内で使われる合同関税品目分類表のコード
メルコスールNCMコードNCM = Nomenclature Comum do MERCOSUL
メルコスール(南米南部共同市場)の加盟国で使用されるコード
合計8桁のコードで6桁まではHSコードと同じ
タイAHTN2022ASEAN統一関税品目分類コード
さわむら

国際貿易に不可欠なコードということはおわかりいただけたでしょうか?

HSコードの構造/分類

構造

類:上2桁
項:上4桁
号:上6桁

HSコードの6桁目までは世界共通の構成となっており、上2桁を 類 (Chapter)上4桁を 項 (Heading)上6桁を 号 (Sub-heading) と呼びます。

日本で税関に申告を行なう場合、この6桁に3桁の統計細分を加えた9桁のHSコードが使用されます。NACCSを使用して申告を行なう場合、上記9桁にNACCS用番号1桁加えた10桁のHSコードが使用されます。

以下はにんじん(0706.10.010)におけるHSコードの構造です。

HSコードの構造

分類

21分類

HSコードには 類 (Chapter) の上に、部 (Section) とよばれる大分類があります。この部は21種類からなります。

輸出統計品目表や実行関税率表は、21部 97類に分かれており、第77類は欠番となっています。

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内容
第1部 動物(生きているものに限る)及び動物性生産品
第2部植物性生産品
第3部動物性又は植物性の油脂及びその分解生産物、調製食用脂並びに動物性又は植物性のろう
第4部調製食料品、飲料、アルコール、食酢、たばこ及び製造たばこ代用品
第5部鉱物性生産品
第6部化学工業(類似の工業を含む)の生産物
第7部プラスチック及びゴム並びにこれらの製品
第8部皮革及び毛皮並びにこれらの製品、動物用装着具並びに旅行用具、
ハンドバッグその他これらに類する容器並びに腸の製品
第9部木材及びその製品、木炭、コルク及びその製品並びにわら、
エスパルトその他の組物材料の製品並びにかご細工物及び枝条細工物
第10部木材パルプ、繊維素繊維を原料とするその他のパルプ、古紙並びに紙及び板紙並びにこれらの製品
第11部紡織用繊維及びその製品
第12部履物、帽子、傘、つえ、シートステッキ及びむち並びにこれらの部分品、調製羽毛、
羽毛製品、造花並びに人髪製品
第13部石、プラスター、セメント、石綿、雲母その他これらに類する材料の製品、
陶磁製品並びにガラス及びその製品
第14部天然又は養殖の真珠、貴石、半貴石、貴金属及び貴金属を張った金属並びにこれらの製品
第15部卑金属及びその製品
第16部機械類及び電気機器並びにこれらの部分品並びに録音機、
音声再生機並びにテレビジョンの映像及び音声の記録用又は再生用の機器並びにこれらの部分品及び附属品
第17部車両、航空機、船舶及び輸送機器関連品
第18部光学機器、写真用機器、映画用機器、測定機器、検査機器、精密機器、医療用機
第19部武器及び銃砲弾並びにこれらの部分品及び附属品
第20部雑品
第21部美術品、収集品及びこっとう
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内容
第1類~第24類農水産品
第25類~第71類軽工業品 (化学品、プラスチック、ゴム製品、医薬品、布製品など)
第72類~第93類重工業品 (機械類、鉄道用品、車両、航空機、船舶、医療用機器など)
第94類~第97類上記以外の雑品
第77類欠番、今後のための予備
さわむら

音声再生機並びにテレビジョンの映像及び音声の記録用又は再生用の機器並びにこれらの部分品及び附属品 …何を言っているのか理解が難しい言葉ですね。

HSコードの調べ方

HSコードの調べ方はいくつかの方法がありますが、本記事では以下の調べ方について紹介します。

  1. 税関サイトを利用した調べ方
  2. FedExのWorldTariffを利用した調べ方
  3. 日本関税協会のWebタリフを利用した調べ方

税関サイトを利用した調べ方

HSコードの調べ方は、輸出と輸入で方法が変わります。

輸入するとき(日本のHSコードを調べるとき)は「実行関税率表」を確認します。

輸出するとき(日本からのHSコードを調べる)は「輸出統計品目表」を確認します。

そのほか、取引相手国の関税や・EPA原産地規則の確認を行なう(取引相手国のHSコードを調べる)場合は、以下のサイトより Japan’s Tariff Schedule を確認し、物品が該当すると思われる類(Chapter:HSコードの上2桁)を選んで探します。

例外

第1類を例に説明します。

第1類には生きている動物が含まれるため「 ”牛・豚・羊・馬・鯨・いるか等哺乳類、かめ・へび・とかげ等爬虫類、両生類及び鳥類” 」は第1類となります。

しかし「 生きているいせえび、かたつむり、なまこ(3類)、巡回サーカス用の動物(95類)等 」は例外となります。

調べてもわからないときは?

税関の事前教示制度を利用することをおすすめします。

事前教示制度とは、輸入の前に税関に対して貨物の関税分類(税番)や関税率などについての照会を文書で行い、文書によって回答を受けることができる制度です。

事前教示制度を利用する際のフォーマットは以下を参照してください。

定められたフォーマット以外でも、口頭やメールでの確認を行なうことが可能ですが、口頭やメールで得られる回答はあくまで参考情報となります。

さわむら

口頭やメールで事前に無税だと聞かされていても、実際には有税だったということもありえます。

FedExのWorldTariffを利用した調べ方

FedExのWorldTariffを利用してHSコードの確認をすることも可能です。

日本の居住者であれば、JETRO経由で FedEx WorldTariff のユーザー登録を行うことにより、関税率情報データベース「WorldTariff」を無料で利用することが可能となります。

JETRO経由でのユーザー登録は以下より行います。

日本関税協会のWebタリフを利用した調べ方

日本関税協会のWebタリフでもHSコードの確認が可能です。

HSコードの決め方

HSコードは「関税率表の解釈に関する通則」と呼ばれる原則に従って物品の所属を決定します。

関税率表の解釈に関する通則 は 実行関税率表 や 輸出統計品目表 と同様、HS条約の附属書に記載されています。通則の原文の中からいくつかの概略をご紹介します。

  • 部、類はあくまで参照するのに便宜上設けられたものであり、物品の所属は項(上4桁)の規定とこれに関連する部、類の”注”に従い判断します。
  • いくつかのHSコードの候補がある場合、最も”特殊な限定”をして記載をしている項を優先します。
  • 混合物(オリーブオイルと落花生油の混合物等)、や小売用のセット(スパゲティとソースセット等)にした物品は、その物品に”重要な特性”を与えている材料や要素から成るものとし、材料や構成要素の性質(容積、数量、重量、価格など)、その物品を使用する際の構成材料の役割によって決定します。
  • 特殊な限定をしている項も、重要な特性を与えている要素も明らかにできないものは、等しく考慮に値するHSコード候補のうち、関税率表などの数字上において最後となる項に属します。
  • HSコードを決定できない場合は、その物品に最も類似する商品が属する項に分類されます。
  • 組立て前の未完成品、ケース・容器(楽器、カメラ等)などについて、どのように扱うかが規定されています。

まとめ

HSコードは輸出入貨物の品目分類に使用するコードであり、関税計算のベースになる重要な項目です。

「おそらくこれであっているだろう」と安易な判断をしてしまうと後々の修正に膨大な時間が必要となったりペナルティーが発生する場合もあります。分からないときは税関の事前教示制度もありますので、そちらを利用・活用してください。

さわむら

事前教示制度の文書回答は申請から回答までに1月程度かかることもあるため余裕をもって申請しましょう。

HS品目表の2022年改正内容については以下の記事にまとめていますので参考にしてみてください。

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この記事を書いた人

沢村 千佳 沢村 千佳 貿易事務

貿易事務を 10年 ほどやっています。

これまでの経験を元に貿易事務や資格試験に関する情報を記事にしていきます。

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